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cutting edge| October 20, 2009






Tauba Auerbach: How to Spell the Alphabet
50 in colour, 112 pp, 26 x 22 cm, hardcover
English 2009

1981年カリフォルニア生まれ。かつてタイポグラフィーを学び、看板や標識を描く仕事をしていた。圧倒的な線描のスキルで構築されるそのドローイング/ペインティング/版画は、文字や言葉を、それ自体の美を持った形象として、そして情報の担い手として、つまりは絵画的な問題と記号的な問題を二重に担う媒体として扱う。これまで主に英語のシステムを取り上げてきたが、近年はそこに留まらず、モールス・コード、手話、点字、ウガリット・アルファベット、ランドルト環(視力検査に使われるCに似た記号)など、さらに多様な言語体系を組み込み、解体・再構築している。結果として現れる、より抽象性の高いスタイリッシュな画面には、しかし同時に、具体的情報(意味)の残余がまるでサブリミナルのように包含されており、その二重三重四重の相関関係によって、見る者の知覚は引き裂かれていく。本書は、2007年までの代表作を収録。(奥村雄樹)






Mark Wallinger
Vries, Janneke de / Schuppli, Madeleine (eds.)
160 pp, 28.5 x 23.5 cm, paperback
English 2008

ハンス・ハーケの衣鉢を継ぐべき作家、と評したら本人はどんな顔をするだろうか。無論、ハーケの義憤とマーク・ウォリンジャーのアイロニーを同一に論じることは出来ないだろう。だが、とにかくもアートを用いて現代社会の問題を追及する鋭さ、それがウォリンジャーをして、社会派アーティストの急先鋒たらしめているのは間違いない。彼にとって初めての包括的なモノグラフとなる本書では、初期のサラブレッドのシリーズから始まり、政治的な直接性を強めた最近作まで網羅している。彼のように文脈への依存が強い作家の作品は、えてして視覚的なインパクトに乏しいという傾向がある。だからこそ、ウォリンジャーという作家の総体を理解するためにも、彼の作品とその背後にある思想を総括的にまとめた本書が役立つだろう。(石崎尚)