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Darren Almond: Index Julian Heynen, Kathleen Madden, ZIba de Weck Ardalan, Robert Thurman, Simon Ertz 140 in colour, 192 pp, 25 x 17.5 cm, hardcover English 2008 ターナー賞ノミネートやベネチア・ビエンナーレ参加の経験もあるダレン・アーモンド。アウシュヴィッツや北極圏などエクストリームな場を舞台とした作品が近年続いており、社会政治学的観点から語られることも多い。しかしその根底にあるのは記憶や歴史、すなわち時間や場といった特殊性と普遍性とを併せもつ事象への興味であり、月光写真、再生速度の異なるビデオ作品群によるインスタレーション、時計をモチーフにした機械仕掛けの彫刻など多様な表現媒体を駆使し、流動的な世界を何とかそこに捉えようとする。近年刊行が相次ぐ彼の作品集だがその多くはイメージ中心であり、過去文献からの転載も含む本書は随一の輝きを放つ。新作の展示に合わせて出版され前半新作、後半は過去作品の二部構成。多岐に渡る活動の全貌を克明に捉えた充実の一冊。(松元美樹) Gelitin: Gelatin’s Acb Wolfgang Gantner 326 pp, 32 x 25 cm, hardcover with DVD English / German 2008 1993年に結成されたウィーン出身の四人組。トイレでとぐろを巻く大便の写真によってAからZまでの「新しいフォント」を作ったり、100m以上ある巨大なウサギのぬいぐるみを丘に寝かせたり、一人乗りの手作りジェットコースターをギャラリーに設置したり、ブリッジの形にひっくり返って噴水のように噴き出させた自らの尿を飲む男性の彫刻をパブリック・アートとして展示したりと、世界各地で多くの人々や機関を巻き込みながらやりたい放題にプロジェクトを展開してきた。子供がふざけて思い付くようなアイデアを、それが現実化し得る最も極限的な様態として形になるまで死に物狂いでやり抜くことで、「くだらなさ」を「批評性」として先鋭化させていく。見た目の印象に反して、そこにはひとつの美学がある。(奥村雄樹) Guido van der Werve: Nummer 10 208 pp, 26.8 x 23.8 cm, paperback English 2008 1977年ロッテルダム生まれ。新世代のビデオ・アーティストとして欧米で頭角を現している。その作品の多くには彼自身が登場し、ある限定された地理的状況における行為を通じて、その場所に潜在しながらもこれまで誰も引き出してこなかった可能性を明るみに出す。出色なのは、『僕が世界と共に回転しなかった日』だろう。北極点に立ち、地球の自転と同じゆっくりとしたスピードで、しかし逆方向(時計回り)に24時間回転し続ける作家自身を捉えた映像である。人類の歴史上おそらくはじめて、公転軌道上に「静止」した男。本作の力強さは、極寒に耐え、時折スタッフから食料を提供されながら立ち続ける作家のフィジカリティによるところも大きいだろう。初のモノグラフである本書は、2から9まで番号がつけられた8つの映像作品を一冊にまとめたもの。(奥村雄樹) |