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cutting edge| June 19, 2008






Santiago Sierra: 7 Trabajos / 7 Works
Paromita Vohra, Bindeshwar Pathak, Francisco J. San Martin (essays)
Charles Merewether (essays), JH Engstrom (photo)
223 in b/w, 272 pp, 27.4 x 20.8 cm, paperback
English 2008

人々を雇って彼らの身体を素材/労力とするプロジェクトを実行し、資本主義社会における搾取を極端な形で浮き彫りにすることで知られる。リッソン・ギャラリー(ロンドン)で開催された同吊個展の開催にあわせて発刊された本書には、2005年から2007年の間にインド、メキシコ、ヴェネズエラで実施されたプロジェクトの記録が収録されている。なかでも衝撃的なのは、インドで下水道の整備活動を展開するNGOとのコラボレーションとして実現した『人間の糞便で作られた21の人体測量的モジュール』だろう。インドでは汲取式のトイレがいまだに多いが、作業員が回収した大量の糞便を三年間乾燥させ、特殊な素材と混ぜて木箱の中で固めることで、ミニマルな形態の立体彫刻が21体作り出された。ホワイトキューブの空間に立ち列んだそれらは、荘厳としか言いようのない光景を生成した。(奥村雄樹)






Cerith Wyn Evans: Visibleinvisible
Daniel Birnbaum, Octavio Zaya (essays)
Isabelle Graw, Manfred Hermes, Bennett Simpson
142 illustrations, 110 in color, 28.4 x 28.6 cm
English/Spanish 2008

彼が作品に使うテキストのほとんどは過去の詩人や文学者によるもので、未来へのはかない希望と現実との衝突が読み取れるものが多い。たとえば「もしも君にこの世界では二度と会えないとしても、次の世界でなら会えるだろう。遅れないでね、遅れないでね《といった具合だ。その文字列がそのままネオンや角材によって実体化され、光や炎という知覚を直接的に刺激する現象と組み合わされる。あるいは植物や鏡や風船を使ったインスタレーションに翻訳される。それは、実際にその作品と対峙する鑑賞者に対してではなく、そこにはいない、通常のやり方ではコミュニケーションできない何者かへ向けられたメッセージであるかに見える。そうした「他者」への憧憬がもっとも極端に、もっとも美しく詩的に表現されたのは、『シャンデリア』シリーズにおいてだろう。さまざまなテキストがモールス信号に変換され、多様な意匠のシャンデリアがそれにあわせて明滅する。映画『未知との遭遇』で異星人に向けて提示された光のメッセージのように。MUSAC(カスティージャ・レオン現代美術館)での個展にあわせて発刊された本書は、150枚以上の図版で代表作を網羅するモノグラフ。(奥村雄樹)